
TOP > 介護するための身体つくり

介護の大きな問題の一つとして、腰や肩など体を痛めてしまうことが挙げられます。ある調査によると、家族介護者、介護職に関わらず、介護を行う方の7割以上がどこかしら体を痛めているといいいます。この数字ですが、決してオーバーなものでなく、介護現場の実感に近いものと言えるでしょう。
その対応策として、ベッドや車いすへの移動する介護技術を工夫したり、筋力トレーニングをすることが一般的に提案されます。しかし、それらはどちらかと言えば、対処療法に近いものです。実は介護技術や筋力を鍛える以前にそれらのベースとなる、体の使い方を改善することが、根本的な解決策なのです。体を痛めずに介護をする体の使い方とは、部分ではなく、全身が連動して動かせることが何よりも重要です。しかし、言葉では簡単なことが実際の動きでは難しいことも事実です。そこで、全身の動きを引き出す具体的方法を紹介します。今回は上半身の連動性を高めることを行っていきます。

上半身の問題は、腕の力に頼りすぎてしまうことです。大柄な方や、要介護の方を移動させるときなど、ついつい腕に力が入ってしまうことは、誰もが経験すると思います。しかし、腕だけが働き過ぎで、他はあまり働いていない傾向にあります。そこで、全身を使う第一歩として、腕と背中を連動させて使うようにしていきます。背筋力に代表されるように、背中は体の中で最も大きな力や動きが出せる筋肉とも言われています。その背中と腕を連動して使うためには、次のような動きをしていきます。
| (1)胸の前で手を組む。 (2)背中を丸めながら手首を返し、腕を伸ばしていく。 (3)胸を張りながら、伸ばした手を戻していく。 |
この動きを漠然と行うと、いつものクセで腕だけで曲げ伸ばしをしてしまいがちです。そこで、背中から腕を動かすように動きを改善していきます。まず、背中を丸めることにより、両肩の肩甲骨が広がっていき、その動きが腕を伸ばしていきます。次に、胸を張るようにすると、肩甲骨が背中の中央に寄ってきた結果、腕が戻ってきます。
つまり、背中から腕が伸び、背中から腕が戻るという、背中と腕とが一体となった動きに改善されたのです。
この動きが介護技術に活用されると、今までは腕だけで行っていた技術が、背中と腕とが連動する動きになり、見た目は変わらずとも、質が改善された動きになります。また、この動きは介護だけでなく、育児の抱っこや、日常生活で荷物を持つなどの、腕力に頼りがちな場面にも応用が効きます。そして、背中と腕が連動すると肩への負担が分散するため、肩こり予防にもつながります。